本:木戸孝允と幕末・維新/齋藤紅葉/京都大学学術出版会

木戸孝允の評伝。今まで読んだ中で一番良かった。江戸へ剣術修行に出て、斎藤弥九郎道場に入門すると、齋藤が江川太郎左衛門の手代だったため、西洋のことも学んだそうだ。そうして見聞を広めていると、政府要人の周布政之助の目に留まり、引き立てられていく。禁門の変後の政変で、俗論派の台頭と正義派の壊滅が行われる中、木戸は身をかわしていたが、高杉晋作の挙兵で正義派が復権すると政府に迎えられた。木戸の政府操作方針は輿論を聞くが、決めるのは少数の人数というやり方だったらしい。明治維新後は、廃藩置県を唱えて、大久保利通と時に反発しならがら、明治政府を運営して、廃藩置県を成し遂げた。征韓論の阻止頃から体調不良となり、台湾出兵への反対をするが通らず、江華島事件で決定的に政治力を失ったらしい。そして西南戦争の最中、四十三歳の若さで亡くなった。