本:秦の始皇帝 伝説と史実のはざま/鶴間和幸/吉川弘文館

史記に書いてあることと、出土史料などを比較して、史実を求めて書いている。出土史料からは秦律が出ていて、秦の民衆が首を取ると一爵貰えるという法律によって、昇爵を目指したことが描かれている。始皇帝と言えば、諸制度の統一を行なったとなっているが、文字の統一はそれほど求められてなく、文書の書式の統一が行われていたらしい。貨幣の統一では、黄金、布帛は統一されたらしいが、銭は地方で作られたりしていて、大きさもバラバラだったらしい。秦と言えば法律が全てのように思われるが、占いも盛んに行われていて、何か大事なことは占いで行動を決めていたらしい。秦の統一後、始皇帝が死ぬまでは、前半と後半に分けられ、前半は平和、後半は北方の匈奴との戦いと南方の百越との戦いが行われていたらしい。