本:黛家の兄弟/砂原浩太朗/講談社

黛家は神山藩の筆頭家老の家柄で三千石の大身。そこには、3人の兄弟がいた。一番下の新三郎は、藩主家の分家筋の大目付を代々の家業としている黒沢家へ婿養子に入る。二兄の壮十郎は、家に寄り付かず飲み屋をうろついていたが、黛家と両輪とされる漆原家の嫡男と何かといえば、飲み屋街で対立していた。エスカレートした結果、壮十郎は漆原家の嫡男を切ってしまう。漆原家の娘が藩主の側室になっていて、子供を成しているため、藩主は両成敗の沙汰を下す。黛家の当主、新三郎の父は藩主が側室の子供を嫡男に代わって後継にすることを決めており、黛家の当主は、漆原と手打ちをして壮十郎は腹を切ることになる。目付として兄を助けようとした新三郎は、それを果たせず、次兄が腹を切った後は、長兄と仲を分ち、漆原に尽くすようになる。そして、時は流れて、という話。面白かった。