本:桂太郎 外に帝国主義、内に立憲主義/千葉功/中公新書

桂太郎薩長藩閥政治家の中で、1.5世代にあたるという。桂は上士出身で最初は木戸孝允を領袖として庇護下にいたらしいが、木戸の死後に長州陸軍閥の領袖である山縣有朋の庇護下に入る。長州閥軍人として順調に出世して、ついに首相にまで上り詰める。そして、日露戦争下で政府を率い、戦争を終結させる。このことに自信を持った桂は、次第に山縣の影響から抜け出そうとする。日露戦後、政友会との約束のもと西園寺公望に首相の座を禅定したが、西園寺の政府運営には常に批判的であったらしい。そして第一次政権で自信を持った桂は、第二次政権で大蔵大臣を兼務し、財政問題に取り組み、その手腕に自信を持つ。第一次、第二次政権とも政友会と妥協しながら政権を運営した桂は、軍人から政治家へと転身を試み、第三次政権では政党を立ち上げるが、多数派を作れるという見込みは挫折し、少数政党となり、憲政擁護運動の動乱の中、辞職せざるを得なくなる。辞職後も政党の立ち上げに取り組んでいたが、がんにより死去する。なかなか面白い本だった。