本:中世武家系図の史料論 下巻/峰岸純夫:入間田宣夫:白根靖大:編/高志書院

中世の武家系図がどのような経緯や意図で作られたかを書いている。興味があったのは、武田氏と上杉氏。武田氏の系図のいくつかを見ると、甲斐は一条氏の系統が住居していて、後世に武田氏のシンボル的役割を果たしている「楯無鎧」はこの系統に相伝されている。戦国期に甲斐守護を継ぐ系統は、当時は安芸守護の系譜で、南北長期に甲斐に入国し甲斐守護の系統となる。

山内上杉氏・越後上杉氏の系譜は3つあり、2つの山内上杉氏の系譜は、ある代で自己の正統性を示すために作られたと思われる。もう1つの越後上杉氏の系譜は、上杉謙信となる長尾景虎が自己の正統性を示すために作られたと思われるらしい。