本:ナポレオン ロシア大遠征軍潰走の記/アルマン・ドゥ・コレンクール 小宮正弘:訳/時事通信社

ナポレオン皇帝の側近、馬事総監ヴィサンス公コレンクールの回想録。ナポレオンがロシア皇帝アレクサンドル1世を屈服させるためにロシアに攻め入り、会戦を求めてロシア奥深く入り、ロシア軍の徹底した焦土作戦に驚く。モスクワまで到達したナポレオンはアレクサンドルへ和平の使者を送って、きっと和平が結ばれる筈だという幻想を抱き、厳冬を迎えるまでモスクワに滞在してしまうことになる。コレンクールによると、ロシアの冬を迎えるにあたり馬に鋲付きのて蹄鉄を準備しなかったことにより、馬は雪に一度滑って倒れてしまうと起き上がることが出来ず虚しく死んでいったらしい。またナポレオンの兵士たちは、攻めるのは得意だが守りは不得手だったということだ。ロシアの大地は徹底した焦土戦術で糧食を少しも得ることが出来ず、兵士たちは糧食を求めて、少数で遠くまで出かけてコサック兵に殺されたらしい。なかなか興味深い本だった。